私は自分で設計事務所を立上げるまでブラックな店舗設計事務所で働いていました。
設計事務所の労働環境は大概はブラックなところが多いのですが…w
一級建築士を取ってから資格を持っているが故の社会的責任と与えられた仕事にギャップがあり、
結局、会社の体質と私の倫理観に板挟みになり、耐えられずに退社しました。
なんで板挟みになるにゃ?
リフォームや店舗設計は建築基準法上の決まりをいかに回避するかを求められる場面が多いからです。
まだ実務経験の少ない建築士にはとてもその判断が難しいということもありますが、
建築基準法を回避することが、公共の建築にとって果たして正しいことなのかといったことに悩まされると思います。
今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。
・就職先を探しているけど実務経験が少ない人
・リフォーム会社や店舗設計事務所に就職したい人
上記の方々に対して、実務経験が少ないのであればリフォーム会社や店舗設計事務所に就職しない方がいい理由をご紹介します。
この記事がブラックな会社に就職して後悔する人が少しでも減ってくれれば幸いです。
自己紹介
Bさん@アーキトリック
建築・古代住居・SFを考えることが大好きな一級建築士です。
暮らしに寄り添った建築士として、日々の暮らしに役立つ情報を発信しています。
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役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。
就職しない方がいい理由
実務経験が少ないのであればリフォーム会社や店舗設計事務所に就職しない方がいい理由は以下になります。
・法的にアウトな物件が分からない
・法の抜け道ばかり探すクセが付く
・建築士としての自信が持てない
法的にアウトな物件が分からない
実務経験が少ないのであれば就職しない方がいい理由は、法的にアウトな物件が分からないからです。
法的にアウトな物件で多いのは以下になります。
・200㎡を超える用途変更
・大規模修繕、模様替え
・消防設備の届出申請
・内装制限
・排煙設備
建築確認申請が必要だったり消防設備の届出申請が必要な場合など、
実務経験が少ない建築士の場合は見逃してしまうケースが多いです。
行政と事前に打合せすればいいにゃ?
確かに行政と事前に打合せできればいいのですが…
その時間が取れないで話を進めてしまうケースも多いです。
例えば、自動火災報知設備のある物件でのリフォーム工事で間取り変更した場合は、
軽微な工事の扱いになる場合以外は届出申請や検査が必要になります。
実務経験の少ない建築士はそのような手続きをしないでリフォーム工事をしてしまうことがあるので注意しましょう。
法の抜け道ばかり探すクセが付く
実務経験が少ないのであれば就職しない方がいい理由は、法の抜け道ばかり探すクセが付くからです。
例えば、排煙設備などを検査後に閉じてしまうことも実際にあります。
検査後にお施主さんが知らずに勝手にやったことにするというのはどうかと思いますが、
実際に検査後に工事をすることはわかっていても設計事務所としては目をつぶる場面はあります。
検査後の責任は設計事務所にもあるんじゃにゃい?
確かに設計事務所が検査後の工事を知っているのであれば問題があります。
しかしながら、あくまでもお施主さんが勝手に工事をしたということにしてしまうケースが多いです。
そのような工事ばかりだと何のための建築基準法かわからなくなってしまい、
建築基準法の抜け道ばかりを探すクセが付いてしまうので、実務経験の少ない建築士にはあまりおすすめではありません。
建築士としての自信が持てない
実務経験が少ないのであれば就職しない方がいい理由は、建築士としての自信が持てないからです。
これは実際に私が経験してきたことですが、法の抜け道ばかり探す毎日だと建築士としての自信が持てなくなります。
建築基準法を遵守することだけが正しいことだとは思いませんが、
自分の中で嘘や誤魔化しばかり付いていることになるため、精神的な苦痛を感じる人は多いと思います。
メンタルが強い人だったら大丈夫にゃ?
確かにメンタルが強い人だったら大丈夫かもしれませんが…
建築士法第二条の二で定められている
「築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」
ということに常に葛藤が生まれると思います。
実務経験が少ない建築士にはそれが何を意味するのかを判断できない内に、ブラックな会社の色に染まってしまうことも考えられます。
私としては、実務経験が少ないのであれば正攻法でまず建築基準法に向き合うことが必要だと思います。
ブラックな会社の見分け方
ブラックなリフォーム会社や店舗設計事務所の見分け方はいかになります。
・代表が建築士でない
・建築士の在籍数が少ない(3人未満)
・設計・施工一貫で施工が優位
・法律を遵守しない
・アフターフォローをしない
代表が建築士でない
設計事務所では代表が建築士でないケースがあります。
意外に聞こえるかもしれませんが、代表は建築士でなくても設計事務所を開設することができます。
その場合、事務所を専任で管理する[管理建築士]が必要となります。
この[管理建築士]の1級、2級の資格種別によって[○級建築士事務所]と呼び名が違ってきます。
この代表が建築士でないケースの場合は注意が必要です。
代表は仕事を取ってくるために、お客さんとの打合せがメインとなるわけですが、
建築士としての知識がないがゆえに法的にアウトな案件も引き受けてしまうケースがあります。
[管理建築士]が打合せに同席できればその場でアドバイスできるのですが、
店舗設計事務所の場合は案件数が多いのでなかなか同席できない場合が多いです。
代表が建築士としてしっかりと経験をつんでいる会社や、設計事務所としての管理体制がしっかりしている会社を選ぶようにしましょう。
建築士の在籍数が少ない(3人未満)
店舗設計事務所は営業の人数にもよりますが、私の場合は忙しいとき週に3件ほどの案件をかかえていました。
案件によっては各行政機関へと足を運ばなければならなかったします。
業者との打合せやほかの人の案件の法チェックもしなければならなかったのでとても大変でした。
建築士の在籍数が少ない店舗設計事務所では当然ですが、法チェックが追いつかないケースが出てきます。
建築士の在籍数が少ないと、建築士を取ったばかりの自分自身に全て厄介な仕事をふられてしまうケースが多くなるので、
少なくとも3人以上の建築士が在籍する店舗設計事務所を選ぶようにしましょう。
設計・施工一貫で施工が優位
店舗設計事務所は設計だけを行う会社と設計・施工一貫で行う会社のタイプ分かれると思います。
私は設計・施工一貫の設計事務所で働いていたのですが、施工が優位な店舗設計事務所の場合は注意が必要です。
施工側が工事の予算を握っているので、どうしても施工側の意見での素材選定や納まりになり、設計業務がおろそかになりがちです。
また、設計1人がかかえている案件数も多いので、
施工主導で進められる現場では図面作成や法チェックがおろそかになりがちで、やり直し施工などのロスも多いです。
設計・施工一貫で行う会社の場合は、設計より施工が優位かどうかはなかなか外からだと判断しずらいのですが、
その会社の過去の実績からどのような設計を行っているかなどで判断するようにしましょう。
※外注の設計事務所を使っているケースもあるので見極めは難しいです。
就職してからこの会社は施工が優位だと感じたら早めに転職を考えましょう↓
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法律を遵守しない
法律を遵守するのはあたり前なのですが、既存不適格建築物などなかなか正当な方法では手がつけられない案件もでてきます。
その場合の案件をどのように会社が対処するのかでブラックかどうか判断しましょう。
また[○級建築士事務所]として事務所登録しているかも判断基準となります。
法律を遵守しない設計事務所の場合は、資格を持っている自分自身に火の粉が降りかかってきます。
建築士事務所として事務所登録していれば安心というわけではありませんが、
社会的な責任をしっかりと認めていることになるので、法律を遵守しない場合は罰則が用意されています。
アフターフォローをしない
会社の過去の実績からいまでも付合いがありアフターフォローしている案件がどのくらいあるのかでブラックかどうか判断できます。
店舗の場合は5~10年以内に改装するのが一般的ですので、しっかりとアフターフォローしていれば同じ会社で工事を行うと思います。
やりっぱなしの会社ではその先の仕事につながらないので営業がいくらがんばったところでだんだんと案件数が少なくなります。
住宅の耐用年数は30~50年なのに比べて、店舗は5~10年以内に改装するのでしっかりとお客さんをつかめば安定した収入も見込めます。
アフターフォローがしっかりとしていて、安定した顧客がいる店舗設計事務所を選びましょう。
まとめ
今回は就職先を探しているけど実務経験が少ない人やリフォーム会社や店舗設計事務所に就職したい人に対して、
実務経験が少ないのであればリフォーム会社や店舗設計事務所に就職しない方がいい理由をご紹介してきました。
まとめると以下になります。
■就職しない方がいい理由
・法的にアウトな物件が分からない
・法の抜け道ばかり探すクセが付く
・建築士としての自信が持てない
■ブラックな会社の見分け方
・代表が建築士でない
・建築士の在籍数が少ない(3人未満)
・設計・施工一貫で施工が優位
・法律を遵守しない
・アフターフォローをしない
実務経験の少ない建築士はどんな会社に就職するのかで、その後の建築士としての姿勢が決まってくると思います。
確かに建築基準法が絶対的に正しいとは思いませんが、それに正攻法で向き合う姿勢を忘れないようしましょう。
この記事がブラックな会社に就職して後悔する人が少しでも減ってくれれば幸いです。
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