建築家になることは今すぐにでもなれます。
建築家になるために一級建築士の資格は関係ないからです。
建築家とは建築のために身を捧げている人のことであり、その人の生き方そのものが建築家としての証になります。
せっかく学生の皆さんにが建築家を志すなら「よい建築家」になってほしいと思います。
よい建築家ってなんだにゃ?
私の考える「よい建築家」とは後述しますが、簡単にいうと人間として魅力のある人だと思います。
人間としての魅力って人それぞれにあると思いますが…
私がこれまでに知り合ってきた建築家の先生方には、人の興味を惹きつける何かが必ずありました。
人間としての魅力ってどうやって身につけるにゃ?
それは、人生経験を積まなければ身につけられないものもあれば、いままで生きてきた中で自然と身についたものもあります。
また、人としてのある一部分が極端に欠落していて、それを補うために作品を作り続けているアーティストなども人として興味を惹きつける魅力があります。
今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。
・建築家を志しているけど何をやったらいいのか分からない人
・よい建築家とは何かを知りたい人
上記の方々に対して、学生のうちからやった方がいいことや「よい建築家」の条件などをご紹介します。
私はこれまでに多くの建築家の先生方と知り合ってきました。
そんな経験から「よい建築家」になるための条件を私なりに考えた記事になります。
あくまでも私個人の意見なので、参考程度に読んでいただければ幸いです。
自己紹介
Bさん@アーキトリック
建築・古代住居・SFを考えることが大好きな一級建築士です。
暮らしに寄り添った建築士として、日々の暮らしに役立つ情報を発信しています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
コメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです
役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。
学生のうちにやるべきこと
学生のうちにやるべきことはたくさんありますが、建築家を目指すならやるべきことの代表は以下になります。
・学校の課題
・コンペに参加
・講師の建築家との交流
・設計事務所でのアルバイト
・SNSやブログでの情報発信
私も建築学科の学生でしたが、いまの自分があるのも学生の時にしていたことの影響がとても強いです。
建築学科の学生だった頃やってよかったことについてはこちらをご参照ください↓
学校の課題
まず学生がやるべきことは学校の課題です。
私が学生の時の学校の課題は、
・1年が外観、内観パース
・2年がアトリエ、ギャラリー、木造住宅、セミナーハウス
・3年が小学校、オフィスビル、集合住宅、講師個別課題
・4年が芸術センター(チーム設計)
でした。
学校の課題は担当の教授以外に非常勤講師が設計を指導してくれます。
課題の文章からプログラムをまとめ、何度もエスキースをして設計に落とし込む作業の流れは(法規的や予算のことを除けば)実務と同じです。
設計することを楽しめるのであれば、評価はどうでもよく建築家としての素質があると思います。
私が学生の頃は、建築をボリュームとして捉えてその構成を考えたり、内部空間のボイドをいかに面白く繋げるかなどを考えながら設計していました。
学生の時の学校課題がその後の建築に対しての考え方や向き合い方を学ぶ最初のきっかけとなるので、しっかりと学校の課題に取り組みましょう。
コンペに参加
研究室の教授が参加するコンペ以外で、自分や友達と「登竜門」などが紹介するコンペに積極的に参加しましょう。
建築学科の課題だけだとなかなか自分の建築に対するコンセプトが評価されなかったり、自分の得意とするテーマに合わなかったりする場合があります。
将来建築家を目指すのであれば学生の頃から学生限定のコンペなどで腕試ししたほうがいいと思います。
日ごろからカタチにしやすい建築のアイデアを考える習慣をつけておくと、コンペの時にとても役に立ちます。
自分の建築に対するアイデアをプレゼンする能力は実務設計でも施主を説得するのに必要な能力です。
運よく賞を取れば自分の経歴になるので、積極的に参加しましょう。
講師の建築家との交流
設計の指導に来ている非常勤講師と仲良くなりましょう。
非常勤講師に来ている先生は、かけ出しの建築家やコンペ受賞などの実績のある先生方だと思います。
講師の建築家との交流がその後の自分の人生に大きく影響することなんてザラにあります。
私は学生の頃、チューターで設計の授業のお手伝いをしていました。
その当時、かけ出しの建築家(今では有名な建築家の先生ですw)の先生と仲良くなり、
その先生の主宰するワークショップやイベントなどに参加して建築の可能性や楽しさを経験することができました。
その経験がなければ建築家になりたいと思うことはなかったと思います。
学校には優秀な非常勤講師の先生方が集まってきます。
ぜひ講師の建築家の先生と仲良くなり、いろいろなワークショップに参加してみましょう。
設計事務所でのアルバイト
設計事務所でのアルバイトもその後の人生に大きく影響します。
様々なタイプの設計事務所でのバイトを経験することは学生だからできることです。
社会人になってからだと下請けの設計事務所として出向などありますが、大手の組織設計事務所に限られたりします。
アトリエ系の設計事務所で会社の雰囲気を実際に感じたり、所長や所員の話を聞いたりすると、これからの自分の目標になる設計事務所が見つかったりします。
私が学生の頃の設計事務所では
・コンペなどの3DCGパースの製作
・建築模型の制作
が主なアルバイト内容でした。
1,2年の学部生だとなかなか雇ってくれないのですが、3,4年や院生になると模型や3DCGのスキルがある程度は身についているのでバイト先も多くなります。
建築とは関係ないアルバイトもいいのですが、できれば設計事務所でのアルバイトを経験しておくことはおすすめです。
SNSやブログでの情報発信
SNSやブログでの情報発信を学生のうちから始めましょう。
これからの時代はネットやバーチャルでの影響力がその後の人生を楽にしてくれる時代だと思います。
私が学生の頃は、Emailやインターネットがやっと世の中にでてきた頃でした。
今ではあたり前のTwitterやInstagramなどのSNSやブログがあればやっていたと思います。
学生のうちから自分の考えなどを発信することで共感してくれる仲間ができたりと、後の人生でとても役に立つと思います。
また、文章化することでなんとなく考えていたことがまとまったり、その時の考えが記録に残るので自分の成長などが振り返ることができます。
就職活動などで自分のことを企業に知ってもらうとき役に立つので、
ブログ発信したりポートフォリオなどのホームページをつくったりすることもこれからは必要だと思います。
よい建築家の条件
私が考える「よい建築家」の条件は以下になります。
・建築に対しての誠実さ
・コミュニケーション能力
・要望をアイデアで発展させる
・設計力があること
・パートナーとして頼りになる
まだ他に条件はありそうですが、私がこれまで知り合ってきた建築家の中で尊敬できる先生に共通していることになります。
建築に対しての誠実さ
建築に対しての誠実さとは、自分の目指す建築に対していかに真剣に考え、真摯に向き合っている姿勢のことです。
どんな厳しい条件下でも心地よい建築空間を実現するために、
何度もエスキースを描き直し、努力を惜しまないで考え続けることができるかが、よい建築家になるために最も必要なことだと思います。
私が最初に師事していたアトリエの先生がそんな人でした。
先生の机には毎日エスキースの山があり、それを図面として納める仕事をしていました。
「同じ案件を毎日エスキースしていてよく飽きないなぁ」
と所員の頃は思っていましたが、それが先生の建築に対しての誠実さのあらわれだったのでしょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力が高いのもとても大事な条件だと思います。
私が今まで知り合った建築家の先生は共通して話がとても面白いという特徴がありました。
知識の守備範囲はとても広く、どんな話題にも自分の考えを持っていたりしました。
また、現場でトラブルが起きた時にも巧みな話術で自分の有利になるように話を持っていくなど頭の回転が早くて敵にしたくない存在です。
コミュニケーション能力は私も磨きたい能力のひとつです。
施主を洗脳してしまうほどのコミュニケーション能力があれば建築家として生きていくのに困らないですねw
要望をアイデアで発展させる
施主の要望をアイデアで発展させる能力も条件の一つだと思います。
要望をアイデアで発展させるとは要望をそのままカタチにするのではなく、
要望の本質を見抜き設計することでいく通りもの答えを導き出す能力のことです。
私の師事していたアトリエの先生は
「よい設計とは求められる条件を満たした上で、それ以上のものを提案することだ」
ということをよく言っていました。
要望をそのままカタチにするのは誰にでもできますが、
建築のプロとしてよい設計をするには要望をアイデアで発展させることが重要であるということを言っていたのだと思います。
設計力があること
設計力があることも条件の一つだと思います。
設計力があることとは、いろいろな条件を考慮した上で図面にまとめる能力のことです。
私の意見になりますが、設計力がある人は話すより先に手が動く(スッケッチを描く)特徴があると思います。
スケッチの上手い下手は関係なく、手を動かしながら考えているまたは考えながら手を動かしている人は設計力する能力が高い傾向があります。
言葉として考えをまとめることも重要ですが、スケッチや図面は言葉以上のものが伝わります。
とにかく手を動かす(スケッチを描く)ことがよい建築家になるには必要だと思います。
パートナーとして頼りになる
パートナーとして頼りになる存在であることも条件の一つだと思います。
建築家は施主の良き理解者であり、建築を作る上での良きパートナーであることが求められます。
そうなるには建築についてのアドバイスをすることはもちろんですが、施主の考え方が間違っていた時は優しく諭すことも必要です。
確かにお金を出すのは施主なので、施主の要望を叶えることは重要なのですが、間違った考えに基づいた要望をすることもあります。
例えば、建築基準法を誤魔化して違法な方法で建築することを求められるケースなどです。
もちろん、建築基準法が全て正しいとは思いませんが、違法な方法で誤魔化すのは建築家として許されない行為です。
よきパートナーであれば、そんな時は他の解決法や代替案を提案して施主を説得しましょう。
まとめ
今回は建築家を志しているけど何をやったらいいのか分からない人やよい建築家とは何かを知りたい人に対して、
学生のうちからやった方がいいことや「よい建築家」の条件などをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
■学生のうちにやるべきこと
・学校の課題
・コンペに参加
・講師の建築家との交流
・設計事務所でのアルバイト
・SNSやブログでの情報発信
■よい建築家の条件
・建築に対しての誠実さ
・コミュニケーション能力
・要望をアイデアで発展させる
・設計力があること
・パートナーとして頼りになる
学生の時は時間があるのでいろんなことにチャレンジできると思います。
また、学校にはいろいろなタイプの建築家が集まってきます。
自分の人生を良い方向へと変えるチャンスがたくさん転がっています。
ぜひ「よい建築家」になるように頑張ってください。
学生のうちからしっかりとやるべきことをして、よい建築家になる人が少しでも増えてくれれば幸いです。
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