店舗設計には闇があります。
新米建築士は店舗設計事務所で働くのはやめた方がいいと思います。
闇に染まってしまい気づいたらブラックな建築士になってしまう恐れがあるからですw
ブラックな建築士ってどういう人にゃの?
コンプライアンスが欠如していたり、違法建築をそのままにしてしまう人のことです。
私は建築士の資格を取りたての頃に店舗設計事務所に長年勤務していましたが、
実務経験の少ない私にとってはとても判断に迷うことや倫理観との葛藤でとても苦労しました。
リフォームや改装もそうですがある程度、建築士としての実務経験を積んてからでないと難しい仕事だと思います。
今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。
・店舗設計の闇を知りたいひと
・新米建築士の違法建築との向き合い方を知りたい人
上記の方々に対して、新米建築士のための違法建築との向き合い方をご紹介します。
この記事が新米建築士の建築士としてのその後の人生に少しでも役立ってくれれば幸いです。
自己紹介
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
設計事務所を16年間(2022年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。
新米建築士の違法建築との向き合い方
新米建築士の違法建築との向き合い方で気を付けることは以下になります。
・建築士としての責務を忘れない
・管理建築士に相談する
・施主や社長を説得する
建築士としての責務を忘れない
新米建築士の違法建築との向き合い方で大事なのは、建築士としての責務を忘れないことです。
違法建築を作ることに慣れてしまうと、いかに建築基準法の抜け道を見つけるかを考えるようになってしまいます。
私も店舗設計をしていた頃は、建築基準法の抜け道ばかり知識として身につけていました。
しかしながら、店舗設計は不特定多数のお客様の命に関わる仕事です。
もし自分の設計した建築で違法建築であることが原因で事故が起きてしまった場合には、取り返しのつかないことになります。
懲役や罰金だけでなく、社会的にも名前が公表されてその後のキャリアにも影響してきます。
建築士として仕事をしている以上は、建築士としての責務があるのでしっかりと心に留めておきましょう。
管理建築士に相談する
新米建築士の違法建築との向き合い方でわからない時は、管理建築士に相談しましょう。
新米建築士が違法建築の問題をひとりで抱え込んでしまうと、ノイローゼになってしまいます。
管理建築士は建築の相談を受けた場合は業務報告書に記録することが義務付けられています。
どのように対応するかでその店舗設計事務所の体質がわかります。
建築基準法を遵守することが絶対に正しいとは思いませんが、
店舗に来店するお客様のことや施主にとって社会的に不利益となるようなことは避けた方がいいです。
私の場合は管理建築士がすぐに辞めてしまい、自分が管理建築士になったので相談することはできずにひとりで抱え込んでしまった時期がありました。
そんな場合でも、外部の設計事務所に相談してなんとかやっていましたが、
抱えている案件数がかなり多くあり、全ての案件を法チェックすることはできなかったと思います。
店舗設計やリフォーム業者はグレーゾーンの案件も取り扱わないと儲けられないこともよく理解しています。
違法建築に一度手を染めてしまうと、どんどんと自分の倫理観が侵食されていきます。
前述しましたが、新米建築士は特に建築士である責務を忘れないでほしいと思います。
施主や社長を説得する
新米建築士の違法建築との向き合い方でどうしても基準法の抜け道がない場合は、
施主や社長に違法性をしっかりと説明し、止めるように説得しましょう。
違法とわかっていてもどうしても会社の利益を優先したかったり、バレなければいいと考えていたりすると、説得するのがむずかしい場合もあります。
また会社や設計事務所としてのコンプライアンスを守ることよりも利益優先の場合はその会社に所属することを考え直した方がいいと思います。
せっかく苦労して建築士の資格を取得したのに、最悪の場合は免許が剥奪され前科がつく場合もあります。
店舗設計事務所に多いのですが、代表取締役が建築士でない場合や設計事務所登録をしていない場合はその危険性が高いと思います。
ブラックな店舗設計事務所の特徴についてはこちらの記事をご参照ください↓
違法性のある案件を取り扱う場合は、その仕事を断る勇気も必要です。
しっかりと施主や社長に違法性を説明し、止めるように説得しましょう。
店舗設計に多い違法建築
店舗設計に多い違法建築の例は以下になります。
・検査後の施主工事
・違法建築の改装
・建築基準法を無視した改装
検査後の施主工事
店舗設計に多い違法建築のひとつ目は、検査後の施主工事で違法建築になるケースです。
施主が相談もなく勝手に工事を行なったという体で、違法な改装工事を行う場合がそれにあたります。
体で工事を行うって…ほとんどブラックじゃにゃい?
いまでの建築士は建築士法により
「品格を保持し、公正かつ誠実に業務を行う」
ように定められているので、違法とわかっている行為は少ないのですが、
私より前の世代の建築士や社長にその辺のコンプライアンスが欠如している人が多いですw
私が会社時代に経験した違法建築は、
別棟で事務所の増築をし、検査後に主屋となるショールームとつなげてしまうなど、
エキスパンジョイントで繋げればまだ良かったものを、検査後に鉄骨でガッチリと繋げて違法建築になってしまう物件もありました。
施主が勝手にやった体で行うのが基本ですが、最悪なのは設計事務所としてそのような抜け道を施主に指示する場合です。
私が店舗設計には闇があるという所以です。
結局、その違法建築になった物件はその後、増改築することができずに店を畳まなければならなくなりました。
設計事務所としてそのような行為を施主に指示するのはとても悪質な行為だということを理解しましょう。
違法建築の改装
店舗設計に多い違法建築の2つ目は、違法建築の改装です。
古い旅館に多いのですが、建築物がそもそも検査済証のない違法建築でそれを改装しなければならないケースです。
確認申請を必要としない改装ならやってしまうことが多いのですが、
万が一火災が起きて死者が出た場合に、違法建築とわかっていてそこを改善しないで改装したことがわかれば社会的に問題になります。
違法建築の改装はどこに注意すればいいのかにゃ?
消防設備はもちろん、基準法上の防火・避難規定などはしっかりと改善できるように改装しましょう。
違法建築に関わる仕事をする場合は、確認申請を必要としない改装でも、基準法に従って改善することは必要です。
どうせ検査がないからと勝手に改装してしまうと通報されて行政処分を受ける場合もあります。
違法建築をそのままにしておくと、結果的に施主の社会的な不利益につながることを理解し、しっかりと改善に努めましょう。
建築基準法を無視した改装
店舗設計に多い違法建築の3つ目は、建築基準法を無視した改装です。
店舗設計で注意したいことは以下になります。
・用途変更の有無
・大規模修繕、模様替え
・消防設備の有無
・内装制限
・排煙設備
などがあります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください↓
確認申請が必要じゃにゃいのに法令遵守は面倒じゃにゃい?
確認申請を必要としない改装に多いのですが、申請が必要ないからといって基準法を守らなくていいということではないです。
建築士の資格を持っていないで店舗設計をやっているデザイナーは特に基準法を無視した設計を行う場合が多いです。
たぶん、排煙設備など計算したことがないデザイナーもいるんじゃないでしょうか…w
建築士であることで自由に設計できないと考える人もいると思います。
私も
「建築士でないデザイナーって自由でいいなぁ」
と思った時期もありましたが、
不特定多数のお客さんが訪れる店舗を設計するのに、基準法を無視した改装をするのは、社会的責任が欠如しているとしか思えないです。
私も店舗設計事務所にいた頃は、明らかにブラックな案件をグレーゾーンに持っていき、会社の利益を優先させることもありましたが、
結局は自分の建築士としての倫理観との葛藤の末、退職することになりました。
私は新米建築士に店舗設計事務所に就職することはおすすめしません。
新米建築士がコンプライアンスの低い会社に所属して、その色に染まってしまうことは危険だと思うからです。
建築士という資格をとったからには
「品格を保持し、公正かつ誠実に業務を行う」
ことをしっかりと考え日々の仕事に取り組むようにしましょう。
違法建築のリスク
違法建築が発覚するとどのような処分、罰則が科せられるのかについて見ていきましょう。
違法建築は人命にも関わる非常に重要な違法行為です。
発覚すると罰金や懲役が科せられるだけでなく事務所や氏名なども公表され、仕事の量や信頼度にも直接影響します。
法律に則った誠実な建築をおこなうことが、長く業界で活躍し続けるために重要です。
行政処分
違法建築が発覚すると国土交通省から処分が下されます。
この行政処分の内容は主に免許の取り消し、業務の停止、そして文書注意です。
これらのいずれの処分を受けたとしてもその違法建築に携わった建築士の氏名や建築内容などは公開されます。
一定期間の免許停止、業務停止命令が下されるとその間の仕事や収入は当然得られず、その後も仕事を得にくくなります。
罰則
法律違反を繰り返し、その行為が悪質だと判断された場合は行政からだけでなく違法行為に罰則が科せられることもあります。
懲役や罰金といった非常に重い罪となり、当然前科がつくことになります。
内容に不服がある場合は弁護士をつけて国や訴訟相手と戦うことになります。
懲役や罰金は違法行為によって変わる
悪質な違法建築が発覚した場合は刑事罰が科せられることもあると紹介しました。
その内容は一律ではなく、その内容や悪質さによって変動します。
建築士が無断で名義を貸した、建築士が虚偽の証明を繰り返していたなどの場合は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。
大規模な建築工事に関して不適切な建築をおこなった、施工停止命令が下されたにも関わらず工事を続けたなどの場合は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科せられます。
個人ではなく法人ぐるみで違法行為をおこなっていたことが発覚した場合、1億円の罰金が科せられるケースもあります。
事務所や氏名も公表される
違法建築をした建築士や建築事務所、工務店などは、その事務所の名前、建築士の氏が公開されます。
これは建築業界で活動をする上で大きな障害となります。
個人でも簡単に違法建築をした建築士は調べられますので、
契約が決まりそうになったところで施工主がその建築士の過去の違法行為を知って契約に進まなかったということもあります。
さらに転職の際にも、過去に違法建築をしたという事実があるだけでどんなに実務経験が長い建築士でも不採用になる可能性はぐっと高くなります。
目先の利益や楽さだけを求めて違法建築をおこなうとこのように将来大きな打撃となる可能性もありますので注意してください。
まとめ
今回は店舗設計の闇を知りたいひとや新米建築士の違法建築との向き合い方を知りたい人に対して、
新米建築士のための違法建築との向き合い方をご紹介してきました。
まとめると以下になります。
■新米建築士の違法建築との向き合い方
・建築士としての責務を忘れない
・管理建築士に相談する
・施主や社長を説得する
■店舗設計に多い違法建築
・検査後の施主工事
・違法建築の改装
・建築基準法を無視した改装
建築士の仕事を長年していて違法建築を扱ったことがない人は少ないと思います。
違法建築にどう向き合うかでその後の建築士としての人生が変わってきます。
店舗設計には闇があります。
闇に染まってしまい気づいたらブラックな建築士になってしまうなんてことにならないように、
新米建築士のうちに違法建築との向き合い方をしっかりと考えておきましょう。
この記事が新米建築士の建築士としてのその後の人生に少しでも役立ってくれれば幸いです。
この記事が役に立った、面白かったという方はコメントしてくださいね。
また、FacebookやTwitterでみなさんのお役にたてる情報発信しています!
「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪
コメント