私は建築学科の学生だった頃から随分と建築に関する本を読んできました。
建築の本って難解なものが多いというのが率直な感想ですw
そんな難解な本を読んでも自己満足にすぎないと思います。
建築家を目指すならどんなん本を読めばいいにゃ?
多くの本の中でもわかりやすくてためになる本との出会いってそうあるものではないと思います。
今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。
・建築学科の学生が読むべき本を探している人
・建築家を目指すためにどんな本を読めばいいのか知りたい人
上記の方々に対して、建築学科の学生に読んでほしい本を10冊ご紹介します。
この記事が少しでも建築家を目指す建築学科の学生の役にたってくれれば幸いです。
建築学科の学生に読んでほしい本
建築学科の学生に読んでほしい10冊の本は以下になります。
建築意匠講義
建築意匠講義 香山壽夫(こうやま ひさお) 著
¥6,380
建築学科の学生に読んでほしい本の一冊目は、建築意匠講義です。
この本は建築を学ぼうとする学生が一番最初に読んだ方がいい本だと思います。
「建築空間とは何か?」
という問いにルイス・カーンの思想を用いて簡潔に説明されているとてもわかりやすい本です。
私が大学院の頃にルイス・カーンの研究をしていたときに指導教授からすすめられた本でとても参考になった一冊です。
学生時代にはさまざまな本を読むのですが、建築の本をたくさん読めば読むほど「建築空間とは何か?」ということがわからなくなると思います。
そんなときに、この本を読むと根源的なところに立ち戻らせてくれ、また新しいことを気づかせてくれるとても良い本だと思います。
近代建築の系譜上・下巻
近代建築の系譜上・下巻 W.J.Rカーティス 著
¥3,687
建築学科の学生に読んでほしい本のは、近代建築の系譜上・下巻です。
この本は近代建築をしっかりと理解するためにとても参考になる一冊です。
建築史を知ることは、いま現在このような建築がなぜ流行っているのかを理解することにとても役に立ちます。
この本を読むと建築における時代の潮流は、それ以前までの建築の流れを無視することはできないことが理解できます。
近代建築という建築を大きく発展させた時代を知ることは、建築をより深く理解するためにはとても重要なことだと思います。
グッバイポストモダン
グッバイポストモダン 隈研吾 著
¥254
建築学科の学生に読んでほしい本のは、グッバイポストモダンです。
ポストモダン建築は1980年代を中心に流行した建築の大きな流れです。
近代のモダニズム建築への批判から提唱された建築のスタイルで、
合理的で機能主義的となった近代モダニズム建築に対し、その反動として現れた装飾性、折衷性、過剰性などの回復を目指した建築のことです。
いまでは有名な隈研吾さんが実際にポストモダンの建築家たちにインタビューをして文章を書いています。
ポストモダンの建築家たちが何を考えて建築を作っているのかがとてもわかりやすく書かれています。
タイトルからもわかるように、いち時代を築いたポストモダンという建築の流れに対して隈研吾さんなりのクールな向き合い方がわかる一冊です。
現代建築理論序説
現代建築理論序説 ハリー.F.マルグレイヴ+デイヴィッド.グッドマン 原著
¥3,960
建築学科の学生に読んでほしい本のは、現代建築理論序説です。
この本は先に紹介した近代建築の系譜の続きとして建築史を知る上ではとても重要な本になります。
1960年から1990年代までのモダニズムからポストモダニズム、デコンストラクション、ミニマリズムへと変遷していった建築史を知ることができます。
この本の監訳者の澤岡清秀先生は私の修士論文の指導教授でした。
そういえば、デココンストラクションとは何なのかという疑問をぶつけて丁寧に答えてくれた最初先生が澤岡先生でした。
今での建築学科の学生にはあまり馴染みのないデコンですが、私たちの学生の頃の建築界はそれ一色に染まっていました。
30年以上経って改めてその時代がどんなものだったかを知るにはとてもためになる一冊です。
建築めざして
建築めざして ル・コルビュジェ 著
¥2,200
建築学科の学生に読んでほしい本のは、建築めざしてです。
近代建築の巨匠であるル・コルビュジェによって書かれた建築思想の覚書のような本です。
コルビュジェが何を考えて建築を作っていたのかがとてもわかる一冊です。
近代建築については建築史家の書いた本はたくさんでていますが、当事者本人によって書かれた本はとても貴重だと思います。
いまの時代では理解不能な部分も多くあるのですが、その当時のことを考えるとそれが最先端だったのだと改めて気付かせてくれます。
建築家を目指すならこのような本を出すくらいまで自分の建築の理論をしっかりと体系化してみたいですね。
街並みの美学
街並みの美学 芦原義信 著
¥1,540
建築学科の学生に読んでほしい本のは、街並みの美学です。
世界各都市の街並みを建築家としての目線で観察し、都市構造や建築空間について理論的に考察している本です。
人間のために美しい街並みを作る創造的手法を具体的に提案した街並みづくりのバイブルとも呼べる一冊です。
建築家は自分の作る建築だけでなく、それによって作られる街並みについても設計的な配慮が求められるということを気づかせてくれた本です。
建築家は自分の作る建築だけでなく、それによって作られる街並みについても設計的な配慮が求められるということを気づかせてくれた本です。
見えがくれする都市
見えがくれする都市 槇文彦 著
¥2,200
建築学科の学生に読んでほしい本のは、見えがくれする都市です。
前述した街並みの美学は世界各都市でしたが、
この本は日本の江戸・東京に焦点をあてて書かれた都市についての理論的な考察の本です。
著者は有名な槇文彦さんです。
私が学生だった頃に卒業論文や卒業設計のテーマを見つけるときにとても役に立った一冊です。
日本の都市は微地形をうまく利用して作られており、そこに場所性を持たせるための建築を作るというのが私の卒業設計のテーマだったと思います。
また、日本の都市を図と地の関係で反転すると隙間が多いことに日本的特徴を見出すなど…
建築学科の学生なら一度は読んでおきたい本だと思います。
陰翳礼讃
陰翳礼讃 谷崎潤一郎 著
¥528
建築学科の学生に読んでほしい本のは、陰翳礼讃です。
言わずと知れた名作です。
日本的な美しさとは何か?
をいろんな本を読んで探しても、やはりこの本に行きつくと思います。
会社勤めの頃に旅館の改装を数多くやっていましたが、
この本に書かれている日本美の世界観を崩さずにモダンにリノベーションするにはどうしたらいいのかを考えながら設計していました。
建築家にとって世界の潮流よりも日本的な感性をよしとする方がよっぽど魅力的な空間が作れると私は思います。
これからの建築家を目指す学生にこの本に書かれていることを忘れないでほしい一冊だと思います。
いい家の本
いい家の本 宮脇壇 著
¥40
建築学科の学生に読んでほしい本のは、いい家の本です。
住宅作家である宮脇壇さんの書かれている本です。
※住宅作家について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
住宅設計をするときに事務所の先輩から教えてもらった本です。
宮脇壇さんの住宅に対する考え方はとてもためになるので、注文住宅を建てる際にはぜひ最初に読んでほしい一冊です。
住宅設計を仕事にするようになると、いま流行りのことについつい流されがちになりますが、
いい家とは何か?をしっかりと基本に立ち戻って考えるときはとても役に立つ本だと思います。
建築家という生き方
建築家という生き方 日経アーキテクチュア
¥887
建築学科の学生に読んでほしい本のは、建築家という生き方です。
27人の有名建築家にインタビューをして建築家という生き方とは何かを掘りさげている本です。
建築家は以下の方々です(敬称略)
伊藤豊雄、原広司、丹下健三、レンゾ・ピアノ、ラファエル・ヴィニョーリ、柳澤孝彦、安藤忠雄、黒川紀章、隈研吾、坂茂、内藤廣、磯崎新、槇文彦、谷口吉生、木村俊彦、宮脇壇、林雅子、村野藤吾、吉村順三、前川國男、田中文男、西岡常一、山田脩二、木下孝一、菊竹清訓、林昌二、渡辺邦夫
いまではだいぶ古くなってしまいましたが、いち時代を築いた有名な建築家たちの生の声が聞けるのはとても貴重だと思います。
その時代に何を考え建築とどのように向き合っていたのかを知ることで、これから建築家を目指す学生にとってとてもためになる一冊だと思います。
まとめ
今回は建築学科の学生が読むべき本を探している人や建築家を目指すためにどんな本を読めばいいのか知りたい人に対して、
建築学科の学生に読んでほしい本を10冊ご紹介してきました。
まとめると以下になります。
■建築学科の学生に読んでほしい本
本との出会いは建築家としての生き方にとても影響すると思います。
私がご紹介したおすすめの本はどれも読みやすい本ばかりだと思います。
私もそうでしたが、建築学科の学生は難しい本を読みがちで消化不良を起こしてしまいがちだと思います。
今回ご紹介した本をもう一度手に取り
「建築空間とは何か?」
について考え直すきっかけになってくれればいいと思います。
この記事が少しでも建築家を目指す建築学科の学生の役にたってくれれば幸いです。
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